文系出身者の建築構造計算 GenS Weblog

建築構造計算に関する情報 と 文系出身のGenSが極めて私見を綴ったWeblogです。たまに趣味ネタも書いてます。


アメリカ車

「アメ車は燃費が悪い」とか「ガソリン垂れ流して走ってる」みたいな話しってよく聞きますよね?
それから「アメ車はすぐ壊れる」とかも巷でよく耳にする話しです。
私の知り合いにも中古でアメ車を買った直後から故障続きで,すぐに国産の新車に乗り換えた人も確かにいます。
でも,私の意見としてはどちらも NO ですね。
まず燃費のことで言えば,多くの人がまったく車格の違う車両の燃費を比較してますね。それって実にナンセンスな話しです。せめて同車格の車両で比較すべきです。たとえばプリウスと比較するなら同じハイブリッドのインサイトかリッターカークラスまでです。クラウンやランクルを引き合いに出しても仕方のないことです。ましてやTAHOEやCAMAROなんて,言わずもがなです。

まるで単位の違う数値を間違ってそのまま計算して,結果が合うの合わないと議論しているようなものです。せめて単位くらいは合わせましょうよ!と言いたい。だって同じ性能じゃないんだから,同じ燃費じゃなくて当然なんです。

私のTAHOE君は,全長は5mそこそこですが,幅は2mを超えますし,車重は2トン半を優に越えてます。排気量は350立方インチ(約5700cc)のガソリン車です。
国産車で比較できる車格といえばトヨタのランドクルーザーくらいなものです。
ランクルの大きさはほぼTAHOEと同じで排気量は4600ccのV8です。現行の200系のガソリン車のカタログ上の燃費は,10.15モードで6.5km/L程度で,実質的な街乗り燃費を想像すれば5km台で,遠出して7km行けばいいかな?と想像できます。10km台を期待する人もいないでしょうしまず無理でしょう。

ここまでの話しで「そもそも車がデカ過ぎるんだよ!無駄無駄!」って声が聞こえてきそうですね。

でも,必要になる車格は人それぞれで,アメ車のあの大きさは必要から生まれたものです。家族4〜5人の一週間分の荷物と,20ftを超えるバスボートや1トンはあろうかというモーターホームを牽引して,大陸を何千キロも旅するには必要な車格です。小さな車では不可能です。大陸を移動する手段として必要最低限の大きさで,ニーズに見合った車格と言えます。
もし同じことを最近のエコカーでやろうと思えば,2台か3台に分乗して牽引は諦めることになります。同じことは出来ないんです。
そもそもカタログのトーイングキャパシティーという牽引能力の数値を見て車の性能を測るお国柄です。

多くのアメ車乗りは,そういうアメリカの豊かな車文化に憧れて乗っていると思います。大きさや色・形だけではないように思います。実際にはこの狭い島国でボートもモーターホームも牽引しなくても,いざとなれば引けるゾっと!という余裕を楽しんでるように思います。

ちなみに,私のTAHOE君の二年余りのトータル燃費は5km台前半です。この春に家族5人フル乗車で信州まで遠出した際の燃費は6.5kmほどでした。大台の7kmを期待しましたが流石に無理でしたね(笑)。
二日で1000km以上走破する強行軍でしたが,家に着いてもまったく疲れ知らずで,すぐさまもう1000km走っても大丈夫と思えるほど余裕でした。

燃費は,同車格のランクルと大して変わらないどころか,11年前の車両であることを考えると上出来であると思っています。これは機関が好調である証でもあります。5kmを下回ることが多くなれば,何か不具合を抱えているという目安にもなります。

次に「アメ車は壊れる」って巷の噂ですが,これは時間という横軸を考慮しないと一概には言えませんが,そもそも砂漠もある広大な大陸を走るために生まれた車が,しかもPL法で厳しく製造者責任を追求する訴訟大国アメリカで,ヤワな車が生き残れるはずがありません。

「機関は国産車より相当丈夫にできている」というのが私の感想です。ただ電気系統は日本車には少し劣るかな?という印象はあります。

ただ巷の噂の元を辿れば,おおよそ「既に壊れた車を掴まされた」か「自分が壊した」かのいずれかに分類できます。

一時期ブームだったアストロのコンバージョン(ハイルーフにして本革シートにウッドパネルで架装したキャンピング仕様車)なんかは,本国で業務車両やレンタカーとして10万マイルも20万マイルも走ったクタクタの車両のメーターを巻き戻し,メキシコ辺りで安く内外装を見た目だけ綺麗にしてから平行輸入し,100万円台から売り出したため,知らずに飛びついた客は後で故障に悩まされて,諦めて売ろうとしたら二束三文どころか値が付かないというものです。
こんな人からは「アメ車はもう懲り懲り」という嘆き声が漏れて当然です。これは前者の典型例ですね。

後者の話は,消耗品の概念の違いと,オーナー自ら整備することが定着しているアメリカ人と日本人の車に対する考え方の違いに要因があると感じています。

「オルタネーターって消耗品ですか?」「グリスアップしましたか?」
オルタネーターって何?という回答でも不思議ではありませんし,グリスアップを必要とする車は今の日本車にはまずありません。

私の場合,オルタは二年前に部品を個人輸入して自分で交換しました(決して壊れたわけではなく予防整備です)。グリスアップは毎年行っています。プラグコードやディストリビュータのキャップやローターも二年に一回は交換します。プラグは半年ごとに点検して,おおむね年に一回は交換します。

オイル交換のときにオイルフィルターも交換する人はいますが,燃料フィルターを交換する人はあまりいません。これも私は車検ごと(私は1ナンバーなので毎年)に交換してます。タンクを降ろさないと交換出来ない燃料ポンプは,購入時の納車前整備で交換済みです。これで最低5年はもつはずです。

そろそろかな?と少し不安に思ってるのがスタータです。近いうちに部品を取り寄せようと思います。TAHOE君の場合,リフトアップせずに交換できそうですが,実際に自分でやるか主治医に頼むかは,下に潜ってかから判断することにします。

古いアメリカ車を維持するということは,まさにこういうことだと思います。
エンコや事故の原因となりそうな機関整備を最優先とし,壊れてもすぐに危険を伴わない箇所は後回しにする。だからドレスアップなんて一番最後になるんです。だから未だにナビなんて付いてません。車は走ってナンボですから。

アメ車のメカニズムを理解して,必要な整備を行うことで,ずっと性能を維持できるんです。この世に一切整備せずに何十年も乗り続けられる車など存在しません。
消耗品の交換や基本的な整備すらせずに乗り続け,挙句に壊れたのはアメ車がボロいからという決め付けは,聞いていて情けないというか「アンタが壊したんやろ!」って口から出そうになります。
それが嫌ならディーラーから新車で購入して,高いと言わず整備費用を支払うべきです。
ガソリン入れて年に一回か二回オイル交換して,ろくに整備もしない格安車検で10年10万キロくらい乗り続けてもまず故障しない日本車は本当に凄いと思います。
でも,この先更に10年乗ろうとすれば,国産車でも何の整備もぜずには乗れません。アメ車と国産車の差は消耗品の範囲と寿命が少し異なるだけです。10年も経てば国産車だって満身創痍といっていい状態のはずです。

もしこの先更に10年20年と長く乗ろうとお考えなら,アメ車は最高の相棒となります。

なぜなら部品単価が非常に安いからです。
それにアフターマーケットパーツ(社外品)も多く,上手く探せば純正品より高性能だったり高耐久の部品を安く入手できます。
後は自分で整備出来る腕を磨くとともに,持込部品でも交換してくれる腕の立つ主治医を見つけることです。きっと国産車より断然安く維持できます。

国産車はすぐに部品入手が困難になるだけでなく,消耗品なのに単体での供給がなく必要ない部品とセットで購入せざるをえないケースが多いからです。
たとえばサスペンション関係のブッシュがそうです。これはサスペンションの付け根にあるゴム部品ですが,経年変化や熱でゴムが硬化して車内に振動を伝えるようになったり,切れて本来の性能を発揮できなくなります。
しかし国産車の多くはブッシュ単体の供給がなく,必要のないサスペンションアームごと購入せざるをえないことが少なくありません。しかも社外品などまずありませんので,ディーラーから定価で購入するしかありません。もしブッシュ交換で10万円って言われたら,貴方なら支払って乗り続けますか?

きっと乗り換えを考える人が少なくないことでしょう。これも国産車をたった10年10万km程度で廃車にしてしまうという無駄の原因のひとつであると考えます。エコカーだって作るのに膨大なエネルギーを消費しているんです。まだ乗れる車を廃車にするにもエネルギーは必要なんです。
まだまだ使える車を廃車にして,新しい車に乗り換えることはエコなんでしょうか?

いったい何がエコなんでしょうね?

アメ車の場合,ブッシュだけでも社外品を含めて複数メーカーから選べます。耐久性を取るかハンドリングの向上を狙ってウレタン製の硬いやつにしてみようか,なんて選択が可能です。
この辺りもアメリカの成熟した車社会というか豊かな車文化を感じるところです。古い車を治しながら大事に乗るという文化は,圧倒的にアメリカの方が上です。

私は決して手放しでアメリカに憧れているわけではありません。アメリカ文化全般に対しては,どちらかというと否定的な考えの持ち主です。
ただし,こと車文化だけはアメリカの豊かさに憧れ愛して止まないのです。

私のTAHOE君も丸11年経って,これから整備メニューが増えてくるはずですが,主治医の見立てでは特に急を要するところはないそうで「暫くは整備を忘れてドライヴを楽しんだら?」と言われています。
でも,私には気になるところがいっぱいあるんですよね(笑)。

もう暫くは大陸を走るために生まれた車の大らかさを味わいたいと思います。

だって,燃費も全然悪くないし,機関は凄く丈夫だし,部品だってメチャ安なエコカーですもん!

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