文系出身者の建築構造計算 GenS Weblog

建築構造計算に関する情報 と 文系出身のGenSが極めて私見を綴ったWeblogです。たまに趣味ネタも書いてます。


Ds値の上限が0.55なのはなぜ?1.00じゃないの?

ご存知のように,保有水平耐力計算における標準せん断力係数Coは1.00である。

ならば,壁式構造のような強度抵抗型のDs値の上限は1.00じゃないのか?と考えたことがある。
それは1999年頃だった。

そう,2000年の建築基準法の大改正と同時に世に出た限界耐力計算法が,建築研究所でまだ新検証法と呼ばれていた頃,勅使川原さんと倉本さんが全国行脚されていた頃,GenSはその新検証法を理解しようと躍起だった。登場から40年後の2000年に日の目を見た等価線形解析を理解しようとしていた。

蓋を開けてみれば,限耐法は保有水平耐力と同等の扱いだった。修復限界時の定義もなくなっていた。

告示1457号には相互作用の計算方法も細かに規定されていて,その計算過程を知るうちに,限耐法におけるDs値に相当する値は何だろうと考えた。

答えは,Ductilityfactor.→略してDf.塑性変形応答倍率のことである。

これを元に等価粘性減衰定数を求めて応答加速度を低減するFhを求める。
やっぱりDfというよりFhかな?

相互作用を理解しようとする過程で気付いた。Ds値の上限が0.55なのは,入力損失と逸散に他ならないと。強度抵抗型の建物は,己を壊しながら減衰するのではなく,硬さと耐力で地震に耐えて地盤で減衰するのである。

保有水平耐力では,計算することなく最初からCo=1.00を45%低減できる。それが建築物と表層地盤の相互作用なんだと理解した。

振動特性係数Rtはまさに加速度応答スペクトルそのもの。短周期で下がらないことと,0.64秒から速度一定領域になるところが双曲線になるだけの違いだけだし,Ds値は建物の減衰性から直接的に計算する仕様になっただけだし,Bi分布も層せん断力ではなく各階の水平力で書き直したAi分布だし。

確かに保有水平耐力と限耐法は同等の計算手法だと思った。

計算のアプローチが,前者が「応力」なら,後者は「変形」,そんな感じか。

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